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FT-857M 50W運用リチウムイオン電源装置の開発


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FT-857DM 50W運用可能なLi-ion電源 の開発記録です(2018/09/17掲載)

 






FT-857DM RF出力50W用Li-ion電源の開発方針

(1)八重洲 FT-857DM 50W運用を可能にする
(2)航空機持ち込み制限上限内の容量150Whバッテリーを使用する
(3)2台並列運転にて航空機持可能な300Wh電源を実現する
(4)軽量化のため充電器は内蔵せず、Li-ion専用充電器を使用する
(5)製品化時の価格とノイズ低減のため、DC-DCコンバータは使用しない
(6)2台構成により万一の故障に備えた電源システムの冗長化
(7)電圧・電流計を実装し、残量だけでなく動作状態をモニター可能とする

八重洲 FT-857DM 50W 運用
 FT-857DMの表示(写真クリック別ウィンドウで拡大)から、50MHzFM送信状態が、SX-600パワーメータでは50W出力が確認できます。2台の電源装置のLED表示では、一方が電源電圧11.7V電流5.45A、他方が電圧11.7V電流5.45Aです。電流は両方を合わせて10.9A流れていることがわかります。
 また、2台の電源を接続するには、一方だけに負担をかけないよう2台の電圧を早く一致させるための回路設計と双方の電圧が出来るだけ一致している事が必要です。

2台のLi-ion電源装置を接続する

 一方が11.6V他方が10.1Vのように不一致の状態で連結すると、電圧の高い電源から低い電源へ充電電流が流れます。この場合(電圧差1.5V)では5Aが流れ、最終的には電圧が一致します。もっと電圧差があれば充電電流は増大し、バッテリーパックの限界である10Aを超えるとヒューズを溶断する結果になります。電圧差が大きい場合にはオートバランシングを中止する制御回路を組み込めばよいのですがコストが上昇してしまいます。そこで2台の電源を接続する場合は電圧を目視確認し、電圧差0.5V以内で行えば標準の充電と同様2A以下で優しくバランスします。実はこの確認のためにも、電圧電流計が必須なのです。

2台接続時のオートバランス動作

 12.3Vの電源装置(上)と11.8Vの電源装置(下)を接続すると1.5Aで上から下への充電が始まります。この状態で無線機の運用も可能です。約30分後にはオートバランシングが完了し、共に電圧は12.2Vとなりました。

 充電について

 電源装置本体の電源スイッチはOFFにした状態で充電が行われます。写真はリチウムイオン電源装置用に設計しPSE認証もされている充電器です。バッテリー温度を常に監視しながら、使用しているリチウムイオン電池に対応したCC-CV充電を行います。充電器には2個のLEDがあり、充電状態やエラーなどを知らせます。この充電器で、上記のリチウムイオン電源装置は、電圧低下シャットダウン状態から約8時間で充電完了します。
 
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【Tips】

 開発当初、電源装置内に2台のバッテリーパックを装着する事を考えました。しかし、(1)ユーザが旅先で筐体を開けてバッテリーパックを容易に装着できる事(2)その際バッテリー電圧の確認手段 について解決する必要がありました。そこで2台の電源装置を連結可能な方法で開発を進めました。