ソミーの部屋 アマチュア無線ルームのロゴ

実践的18650リチウムイオン電池の使用法

 
ページ 8 /11
 

18650電池パックの保護基板について

 ここでは18650リチウムイオン電池の保護基板 について扱います。






18650を複数直並列接続した電池パックの保護基板について

 まず、数社のリチウムイオン電池保護基板を眺めてみましょう。この業界では、リチウムイオン電池3本直列を意味する ”3S ” , 2本並列を意味する ”2P" ,2本並列接続にしたものを3セット直列にした電池パックを ”3S2P " と呼んでいます。
リチウムイオン電池 3S用保護基板

【3S用保護基板】
18650リチウムイオン電池3S2P用の保護基板です。電池パックに入っていたものを外しました。

リチウムイオン電池 3S用保護基板

【3S用保護基板】
BatterySpace社製3セル用4A保護基板です。サーミスタの接続端子はありません。

リチウムイオン電池 4S用保護基板

【4S用保護基板】
18650リチウムイオン電池4S3P用の保護基板です。電池パックに入っていたものを外しました。

基板上シルク印刷に注目してください。
(B+)(B-)は直列接続したバッテリーの+とーに、(B1)(B2)(B3)は、そのバッテリー間から引き出した線を接続します。(P+)(P-)は、バッテリパックの入出力端子(充放電兼用)となります。

 

リチウムイオン電池 7S用保護基板

【7S用保護基板】
 18650リチウムイオン電池7S4P用の保護基板です。上の保護基板と同様に大電流対応です。

 保護基板には、温度検出用のサーミスタや、温度ヒューズも接続されます。 下にセルバランス用の抵抗が7本ついています。セルバランスについては後述します。

 保護基板の役割は、充放電時のみならず運搬時を含めて、(1)どんな時にも絶対に発火などの重大事故を起こさないようにすること(2)どんな電池の使い方をしても、電池を壊さないことです。そのため、各セルが正常かどうかの確認、充電電流の監視、充電の停止、短絡時出力停止、温度監視、セルバランシング(直列に接続された各セルの電圧を揃える動作)などをおこないます。保護基板があれば、充電器は普通のACアダプターが使用できるように思えますが、そうではありません。充電器側から、充電電圧を正確に把握し、温度センスもしながら精密に充電管理する必要があります。保護基板は、万が一充放電制御に問題が生じた場合の最後の砦です。これによって、リチウムイオン電池は充電時に2重の安全機構が働くことになります。保護基板は電池が規定する充電終止電圧よりも高めに設定されていますので、充電時にこれに頼ると電池の推奨充電終止電圧を超えてしまうためバッテリーの寿命は短くなります。また、保護基板はバッテリーが生きている限り働き続けますので、充電せずに1年以上放置しても保護基板は動作し続けている省電力設計が求められます。 
   

ページ 8 /11
 

【Tips】

重要: 市販されている保護基板は、ほとんどの場合CPUを内蔵しています。そのため電源を接続した際,確実に動作を開始させる必要があります。いままで調査した保護基板では2種類のリセット方法が存在しました。一つは、特定個所を一時的にジャンパーしてリセットするタイプです。もう一つは、保護基板にバッテリーを接続した後、充電電圧を加えることによりリセットするタイプです。前者の場合も含めて、一度充電電圧を加えた後でないと出力電圧が現れません。私も最初のうちは、誤配線を疑って冷や汗をかいてしまいました。

※バッテリーを保護基板に接続する際の順序を指定している基板もあります。また、リセットせずに動作を開始する場合もあります。