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FT-991AのスピーカSP-10に非常用電源を実装する


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 FT-991Aで利用するリチウムイオン電源装置を制作しました。リチウムイオン電池3本直列で11.1Vにするか4本直列で14.8Vを使うか悩みましたが、前者でいくことにしました。(Sept2017)

 






11.1Vから13.8VへはDC-DCコンバータで昇圧します

SP-10内蔵リチウムイオンバッテリーで動作しているFT-991A

【 14.8Vを採用した場合の利点と欠点 】

 リチウムイオン電池単体の電圧は3.7V、4本直列の場合は14.8Vになります。但し、この電圧はj標準であり充電完了直後は16Vを越えます。殆どのアマチュア無線機の場合、電源電圧の上限は15.8Vですから、シリコンダイオードを入れて降圧するなどの方法がとられます。これならばDC-DCコンバータは使わないのでノイズを気にする必要はありませんが、10A時には7Wほどの損失が生じますので電池電圧低下時にダイオードをスキップさせる回路が必要になります。

FT-991AとSP-10内蔵リチウムイオンバッテリーの接続 FT-991AとSP-10内蔵リチウムイオンバッテリーの接続

【 11.1Vを採用した場合の利点と欠点】

11.1Vから13.8Vを作るためには大電流DC-DCコンバータが必要です。ノイズ対策も必要になります。  受信時にはDC-DCコンバータをバイパスする方法もありますが、これは非常手段として残しておきます。ノイズのモードや受信機へ混入経路といった問題もありますが、先ずは今回使用したDCコンのノイズ特性を調べてみました。無負荷でのDCコン出力波形(上)、FT-991AM 50W出力時の波形(下)です。この測定では、DCコンの出力には、全く何も付加していない状態です。Webではこのままモービル運用で使用している例が報告されていますが、オーディオ帯域のノイズは少ないようなので送信時スプリアス発生の恐れはまず無いと思いますが、受信時のノイズの問題が予想されますので、スイッチング周波数は100kHz以上の周波数に対処できるフィルタを付加する方向で進めてみます。

 

出力フィルタの構成
FT-991A用リチウムイオンバッテリー FT-991A用リチウムイオンバッテリー FT-991A用リチウムイオンバッテリー

【 トロイダルコアと低ESRのコンデンサから構成するフィルタ

 写真(上)、無負荷時・フィルタなし が、セラミックコンデンサをDCコン出力に1個入れるだけで 写真(中)のようにある程度ノイズを低減できます。ノルマルモードのノイズだけでなくコモンモードに対しても十分効果をもたせるためトロイダルコアと0.33μFのセラミックコンデンサも併用した手元にあったフィルタ(特性不明)を接続した状況(無負荷)を写真(下)に示します。

 前項の波形写真は500mV/divでしたが、この項では100mV/div です。

ケースにフィルタを組み込みました

今回試作したLi-ionバッテリー電源と市販品(ALINCO DM-330MV)を比較してみました

【 ALINCO の DM-330MV はどうなんだろう? 】

 PSEもとっていない実験用電源はこんなものか。。。というわけで、今回トロイダルコアを使用して制作したフィルタをLi-ionバッテリー電源に実装することにしました。

今回試作したLi-ionバッテリー電源と市販品(ALINCO DM-330MV)を比較してみました  左の波形写真は、上と同じです。 右はアルインコのDM-330MV 30Aスイッチング電源

FT-991A用SP-10内蔵Li-ion BatteryのDC-DCコンバータ・バッテリー保護基板 【 SP-10スピーカーケースの隙間に入れたノイズフィルタ 】  

 ※金属が近くて設置環境は良くないなー。。。SGとオシロを繋いで様子を見たところ、120kHzから上の周波数でフィルタがしっかり効いていることがわかりました。フェライトビーズを追加すれば、さらにノイズは低減されることは確認したのですが、まあ、こんなもんでいいかと、、

 

Dowonsol VI 特性 【 使用DCコンV-I特性 】  

※グラフは前述再掲  DC電源装置と電子負荷にて、このDCコンの負荷特性を簡易計測してみました。(測定系の中には、接続に使用した50cm程度のクリップコードが4本含まれていますので、実装した品ではもっと改善されているはずです。)ノイズフィルタはφ1.2mmをTDKのコアに片側16T巻いてあり、0.33μと1μFのコンデンサを入出力に付加してあります。

FT-991用電源コネクタ

【 FT-991A側の電源コネクタ 】

※写真は前ページ再掲  日圧製、VLP-04V、 SVF81T-P2.0(AWG12用ピン)
このコネクタは、FT-991,FTDX-1200,FTDX-3000共通仕様のようです。

iCOMでは、IC-7600、IC-7410、IC-7300、IC-7200、IC-7100、IC-9100も コネクタ、ピン配列(極性)が八重洲と同じです。(FT-991AとIC-7600での確認)
トリオのTS-120Sでは、これと異なることを確認しています。

 コネクタは安価なのですが、純正の圧着工具は、3万~6万ほどします。安価な汎用圧着工具で不完全な圧着をするくらいなら、半田付けのほうが良いと思います。但し、この場合は熱で端子のばね性が失われないよう放熱に配慮して作業すべきでしょう。もちろんケーブルもピン指定のAWG12を使用して純正の圧着工具を使用するが仕上がりも均一でしょうが、滅多に使うことの無い専用工具に6万は辛い!


【Tips】

 現在、FT-991Aに接続して運用試験を行っています。送受信は正常にできました。アンテナはベランダに取り付けたATAS-120と144/430MHz用のモービルホイップです。短時間の運用では心配したDCコンのスイッチングノイズは感じられませんでした。フル充電から430MHzFM受信状態で10時間(時折思い出したように送信)、放電停止からフル充電までLi-ion専用充電器(2A充電)で12時間かかりました。この時気が付いたのですが、FT-991A用に購入したアルインコのDM-330MV 30A電源要らないのでは?この非常用電源で充電中も正常に送受信できました。オーディオ帯域にノイズがあるDCコンを使った電源でFT-817NDを使用したときには、このノイズがキャリアを振幅変調し、スプリアスがいっぱい!という事を経験しましたが、この電源とFT-991Aではそれはなさそうです。(要検証)私の運用状態ならば、この非常用電源だけで充分FT-991Aは使えそう!!